2014年1月2日木曜日

【大学院】臨床検査学特論:貧血

講師:奥田 浩人  先生

★覚えたほうがいい検査値

AST 40 (基準値10~40 IU/L)
ALT 40 (5~45 IU/L)

ΓGTP 10台 (♂:80IU/L以下、♀:30IU/L以下)

T.B(トータルビリルビン)1.2 (0.2~1.2mg/dL)

TP(総蛋白)6 (6.5~8.2g/dL)
Alb(アルブミン)4 (4.5~5.0g/dL)

TC(総コレステロール)250 (120~220 mg/dL)
TG(中性脂肪)150 (30~150 mg/dL)

BUN(尿素窒素)20 (8.5~20.0 mg/dL)
Cr(クレアチン) 2はダメ! ♂:1.0、♀0.8 (♂:0.6~1.0mg/dL ♀:0.5~0.8mg/dL)

血小板 15~20万/mm3 (13~35万/mm3)
Na 135~150
K 3.5 (3.5~5)


・鉄代謝 

鉄の体内分布
 ヘモグロビン鉄2/3+貯蔵鉄1/3(フェリチン、ヘモジデリンとして肝臓、脾臓に貯蔵されているFe)

Fe2+が吸収されやすい!

Fe3+(食物中に含まれるFeの多くは3価鉄)
 ↓
Fe3+⇒Fe2+(胃酸により2価の鉄に還元される)
 ↓
十二指腸で吸収


鉄の体内動態

血清鉄:トランスフェリン(血液中での鉄輸送蛋白)と結合した鉄
フェリチン:貯蔵鉄量の目安


・貧血

定義:末梢血のヘモグロビン濃度(Hb)、ヘマトクリット値、赤血球数が基準値以下になった状態

原因
①赤血球の産生量減少
 原材料(Fe、VB12、葉酸)の不足
 骨髄の造血機能の低下

②赤血球の消失量増大
 出血(急性・慢性)
 溶血の亢進

③その他
膠原病、悪性腫瘍、慢性炎症


症状
 頭痛、めまい、易疲労感、動悸、息切れ、眼球結膜蒼白


MCV(平均赤血球容積):赤血球の大きさ 80~100正常













・鉄欠乏性貧血
概念:鉄欠乏により赤芽球のヘモグロビン合成が低下して起こる

最も頻度の高い貧血で1/2を占める

原因
 ①吸収低下(胃切除、無胃酸
 ②妊娠、授乳
 ③月経

症状
 ①スプーン爪
 ②口角炎、舌炎
 ③異食症

検査値
 ①小球性低色素性貧血 ⇒ MCV↓
 ②貯蔵鉄(フェリチン)↓

治療
 ①経口Fe剤(第一鉄Fe2+) 貯蔵鉄た貯まるまで(3~6ヶ月)継続



・巨赤芽球性貧血
概念:骨髄に巨赤芽球が出現する貧血

原因:VB12、葉酸が欠乏
    核のDNA合成にはVB12と葉酸が必要→欠乏すると、細胞は大きくなるが、核が未熟な巨赤芽球になる

①VB12欠乏
  VB12は胃の壁細胞から分泌される内因子と結合→回腸で吸収
  胃全摘→内因子量が減る
  VB12摂取不足→VB12は肉に含まれる
 

②葉酸欠乏
  メトトレキサート、アルコール

症状
 ①舌乳頭萎縮
 
 ②神経障害(VB12欠乏症)

検査値
 ①大球性正色素性貧血⇒MCV↑、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)→
 
 ②悪性貧血:坑内因子抗体(+)、抗胃壁細胞抗体(+)
 ③骨髄にて巨赤芽球(+)

治療
 ①VB12不足には、VB12製剤の筋注
 ②葉酸欠乏には葉酸内服



・再生不良性貧血
概念:骨髄における造血幹細胞の障害により、汎血球減少を呈する貧血

原因
 先天性:Fanconi貧血
 後天性:特発性85%
       続発性→薬剤性(クロラムフェニコール、抗がん剤)、ウイルス

症状:汎血球減少に伴う症状
 ①赤血球減少:貧血
 ②白血球減少:易感染
 ③血小板減少:出血傾向

検査値
 ①正球性正色素性貧血(網赤血球↓)⇒MCV→、MCHC→
 ②汎血球減少
 ③貯蔵鉄(フェリチン)↑
 ④血清鉄↑

治療
 ①造血幹細胞移植
 ②免疫抑制療法
 



・溶血性貧血
概念:何らかの原因により赤血球破壊の亢進(寿命の短縮)により生じる貧血
 
 通常、赤血球の寿命は120日

原因
 先天性:G6PD欠損、PK欠損
 後天性:自己免疫性溶血性貧血

溶血の生じつ場所により、血管内溶血と血管外溶血(脾臓などの網内系にて、赤血球の寿命前に破壊される)がある

症状
 ①黄疸、胆石
 ②脾腫
 

 
検査値
 
 ①正球性正色素性貧血(網赤血球↑)⇒MCV→、MCHC→ :赤血球がなくなるので、その前の網赤血球が増える
 ②間接ビリルビン↑:脾臓で赤血球が破壊され、ヘモグロビンの代謝産物である間接ビリルビンが増加

 
 ※ビリルビンについて
  ビリルビンとは、古くなった赤血球が破壊されるときに生成される黄色い色素です。
  ビリルビンは血液で肝臓に運ばれ、胆汁中に捨てられます。 肝臓で処理される前
  のビリルビンを「非抱合型(間接)ビリルビン」※1、処理された後のビリルビンを
  「抱合型(直接)ビリルビン」といい、あわせて総ビリルビンと呼びます。
  通常、総ビリルビンは血液中にごくわずかしか存在していません。

  基準値:総ビリルビン:0.2~1.2 mg/dL


治療
 ①副腎皮質ステロイド
 ②摘脾
 ③免疫抑制剤

ポイント
 赤血球の破壊
 骨髄は問題なし→製品(赤血球)が悪い
 赤血球→脾臓で壊される



・腎性貧血
概念:慢性腎不全により、エリスロポエチンの産生低下のために起こる貧血

治療
 遺伝子組替ヒトエリスロポエチン製剤

正球性

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