【論文】ナッツの摂取頻度が高いほど死亡リスクが低い
NEJM誌からナッツの摂取頻度が高いほど死亡リスクが低い
ナッツの摂取頻度が高いほど、全死因死亡、癌死亡、心血管疾患死亡、呼吸器疾患死亡のリスクが低いという逆相関関係が、2つの大規模コホート研究の解析結果として示された。米Harvard大のYing Bao氏らが、NEJM誌2013年11月21日号に報告した。
ナッツは、不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラル、フェノール系抗酸化物質、植物ステロールといった様々な成分を含む。観察研究などから、ナッツの摂取量が多いほど、心血管疾患や2型糖尿病などの慢性疾患リスクを減らす関係が見られているが、ナッツ摂取と死亡リスクの関係は明らかではなかった。
そこで著者らは、Nurses’ Health Study(1980~2010年)に登録された7万6464人の女性と、Health Professionals Follow-up Study(86~10年)に登録された4万2498人の男性を対象に、ナッツの摂取頻度と死亡の関係を調べた。癌、心疾患、脳卒中の既往があった人々は分析対象から除外した。
ナッツの摂取量は28gを一皿とし、どの程度の頻度でこの量のナッツを摂取したかをベースラインと、その後2~4年ごとに尋ねた。摂取ゼロまたはほぼゼロ、月に1~3回、週1回、週2~4回、週5~6回、週7回以上、1日に2~3回、1日に4~6回、1日に7回以上のいずれかから選択するよう依頼した。
主要転帰評価指標は全死因死亡とし、Cox比例ハザードモデルを用いて分析した。
女性については30年、男性は24年の追跡期間中、各個人のナッツの摂取量はほぼ一定だった。摂取頻度が低い人々に比べ高い人々は、痩せており、喫煙者が少なく、運動を好み、マルチビタミンを摂取しており、野菜と果物の摂取量が多かったが、飲酒量も多かった。
303万8853人年の追跡で、1万6200人の女性と1万1229人の男性が死亡した。
既知の危険因子または危険因子候補として、年齢、人種、BMI(体格指数)、身体活動レベル、喫煙習慣、アスピリン使用、糖尿病/心筋梗塞/癌の家族歴、糖尿病/高血圧/高コレステロール血症の既往、総摂取熱量、飲酒習慣、赤身または加工肉/果物/野菜の摂取量、女性の場合には閉経前か後か、ホルモン補充療法の利用などに関する情報を得て、それらで調整してプール解析したところ、男女ともにナッツの消費量と全死因死亡の間に逆相関関係が見られた(傾向性のP<0.001)。
ナッツを食べない人々を参照とすると、週に1回摂取する集団の多変量調整ハザード比は0.93(95%信頼区間 0.90-0.96)、週に1回では0.89(0.86-0.93)、週に2~4回は0.87(0.83-0.90)、週に5~6回は0.85(0.79-0.91)、週に7回以上は0.80(0.73-0.86)だった。
週に2回以上摂取していた集団全体のハザード比は0.86(0.82-0.89)で、この集団のナッツの摂取をピーナッツとそれ以外に分けると、全死因死亡のハザード比は、ピーナッツ摂取の場合が0.88(0.84-0.93)、その他のナッツでは0.83(0.79-0.88)だった。
男女別にナッツ摂取量と全死因死亡の関係を調べても、結果は上記と同様だった。
死亡の危険因子と危険因子候補の保有状況に基づいて対象者を層別化し、ナッツと全死因死亡の関係を検討したところ、どのサブグループにもナッツ摂取の利益が見られたが、特に、25以上のBMI高値群で利益が大きかった。
死因別死亡とナッツ摂取との逆相関関係は、癌死亡(傾向性のP=0.03、週に5回以上摂取する人々のハザード比は0.89、0.81-0.99)、心血管疾患死亡(P<0.001、0.75、0.62-0.84)、心疾患死亡(P<0.001、0.71、0.63-0.81)、呼吸器疾患死亡(P=0.005、0.76、0.59-0.98)について有意だった。神経変性疾患、脳卒中、感染症、腎疾患、糖尿病による死亡との間には有意な関係は見られなかった。
2つの独立した大規模コホートにおいて、ナッツの摂取頻度と、全死因死亡、癌、心血管疾患、呼吸器疾患による死亡の間に逆相関関係を認めた。
原題は「Association of Nut Consumption with Total and Cause-Specific Mortality」、全文は、NEJM誌のWebサイトで閲覧できる。
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